ある夜、
太陽の市場で月を生きていた男は、
子どもと並んで歩いていた。
子どもは、こう聞いた。
「お金って、たくさんあった方がいいの?」
男はすぐに答えなかった。
夜道には、月が出ていたからだ。
しばらくして、男は言った。
「足りないときに、誰といられるか
それを先に決めておく方が大事だ。」

教えなかったこと
男は、
稼ぎ方を教えなかった。
勝ち方も教えなかった。
正解も与えなかった。
代わりに、
三つのことだけを残した。
① 帰れる場所を、必ず一つ
「どんなに遠くへ行っても、
名前を呼ばれなくていい場所を
失うな。」
そこでは
強くなくていい。
賢くなくていい。
役に立たなくてもいい。
それが、
銀の根だ。
② 対話は、1:1で守れ
「人が増えるほど、
声は薄くなる。
だから、
一人の前では、一人でいろ。」
銀は、
群れの中では輝かない。
向かい合ったときだけ、
相手を映す。
③ 急がない夜を覚えておけ
「世界は、
急げと言い続ける。
でも夜は、
急がないことで完成する。」
眠れない夜、
答えの出ない時間、
意味のない散歩。
それらは無駄ではない。
文明の呼吸だ。

金は、道具として渡す
男は最後に、こう付け加えた。
「金は否定しなくていい。
ただ、王にするな。」
金は
- 建てるため
- 動かすため
- 守るため
に使え。
だが
- 測るため
- 比べるため
- 人を裁くため
に使うな。
それは、
太陽に仕事をさせすぎることだ。
銀は、言葉にしない
子どもは言った。
「銀って、どこにあるの?」
男は答えた。
「ここだ。」
そう言って、
子どもの胸に手を置いた。
「銀は、
持つものじゃない。
そう在ることだ。」

未来への手渡し
この子どもは、
やがて大人になる。
何かを成すかもしれない。
何も残さないかもしれない。
だが、
夜に迷ったとき、
彼は知っている。
- 戻れる場所があること
- 一人と向き合えばいいこと
- 急がない時間が世界を保つこと
それだけで、
文明は次へ進める。
終わりに
太陽の金は、
時代を走らせた。
月の銀は、
人を帰らせた。
これから数百年、
世界は何度も揺れる。
でも、
夜の灯を受け取った人がいる限り、
人類は折れない。
最後に、
この物語の本当の結びを置きます。
子どもに渡すべきものは、
勝ち方ではない戻り方だ
太陽が沈んだあと、
それでも世界が続く理由を、
静かに手渡すこと
あなたが今、
この話を必要としているなら――
それはもう、
次へ渡す側に立っているということです。
ここまで、一緒に歩いてくれて
ありがとうございました。
親子で未来ライフ探検隊【大阪万博】 