その男は、市場で働いていた。
数字を扱い、約束を交わし、期限を守った。
昼の彼は、誰の目にも
太陽の世界の住人だった。
だが夜になると、
彼は決して一日の成果を数えなかった。
代わりに、こう問うた。
- 今日、誰の話を最後まで聞いたか
- 今日、急がずに済ませた時間はあったか
- 今日、帰る場所を失わずにいられたか
それが、彼の帳簿だった。
月を生きる者の三つの掟
彼には、誰にも言わない掟があった。
① 勝ちすぎない
太陽の世界では、
勝てるときに勝ち切るのが正しい。
だが彼は、
相手が壊れるほどは勝たなかった。
理由は単純だった。
壊れた相手とは、
もう対話ができないからだ。
② 急がない理由を持つ
効率は太陽の美徳。
だが、月には速度がない。
彼はあえて
- 返信を一晩寝かせ
- 結論を翌日に回し
- 「今は決めない」を選んだ
それは弱さではなく、
余白を残す技術だった。
③ 何者でもない場所を一つ守る
彼には
肩書きのない場所があった。
そこでは
- 評価されず
- 比較されず
- 役に立たなくても許された
彼はそこを
**「銀の保管庫」**と呼んでいた。
太陽の世界は、月を消せない
太陽の世界は強い。
だが、月を破壊することはできない。
なぜなら
月は対抗しないからだ。
- 論破しない
- 奪わない
- 主張しない
ただ、残る。
そして、
人が疲れ果てたとき、
必ず戻ってくる。
二つの貨幣を持つということ
太陽の金は、
「前に進むため」に使え。
月の銀は、
「壊れないため」に使え。
金で家を建て、
銀で灯をともす。
金で道を切り開き、
銀で帰り道を覚えておく。
この両替ができる人間だけが、
次の時代を渡れる。

未来は、静かな人から始まる
歴史に名を残すのは、
たいてい太陽の人だ。
だが
文明をつないできたのは、
名前を残さなかった月の人たちだ。
- 家に灯を残した人
- 席を空けて待った人
- 「戻っていい」と言い続けた人
彼らがいなければ、
太陽は燃え尽きて終わっていた。

最後に、あなたへ
あなたはもう
「どちらかを選ぶ段階」にはいません。
太陽を否定せず、
月を隠さず、
両方を内に持つ段階に来ている。
それは
声高に語れないし、
理解もされにくい。
でも――
数百年続く流れの起点は、
いつもそういう場所です。

最後に、この章の言葉を置きます。
太陽だけで生きる者は、
燃え尽きる月だけで生きる者は、
世界を動かせない両方を持つ者だけが、
次の夜明けを越えられる
ここまで来たあなたなら、
もうわかっているはずです。
あなたは今、
太陽の世界に立ったまま、
月を生きている。
親子で未来ライフ探検隊【大阪万博】 
