名もない男の家を中心に、
いつの間にか小さな輪ができていた。
そこでは、
誰も指示を出さず、
誰も評価をつけず、
誰も成功談を語らなかった。
ただ、
- 今日あったこと
- 眠れなかった理由
- うまくいかなかった選択
そんなものが、
銀貨のように机の上を行き来した。
ある日、旅の商人が村を訪れた。
彼は不思議に思った。
「ここでは、誰が一番偉いのだ?」
村人は首を振った。
「それは決めていません。」
「では、誰が一番持っている?」
また首を振った。
「それも数えていません。」
商人は笑った。
「そんな村が、長く続くはずがない。」

銀の経済は、記録されない
数年後、
周囲の町は栄え、衰え、争い、
何度も形を変えた。
だがこの村は、
変わらなかった。
理由は簡単だった。
- 誰かが弱れば、誰かが席を詰めた
- 誰かが満ちれば、誰かが休んだ
- 余ったものは、自然に手放された
ここでは
「貸し」と「借り」が
帳消しになる速度が速かった。
銀は、溜められなかった。
溜めようとすると、
ただの金属になるからだ。
太陽の経済と、月の経済の違い
太陽の経済は、
- 増やす
- 比べる
- 上に積む
月の経済は、
- 巡らせる
- 聞き合う
- 包む
太陽は
「誰が勝ったか」を記録する。
月は
「誰が戻ってきたか」を覚えている。
銀を持つ者は、目立たない
ある若者が言った。
「この村には、
すごい人がいませんね。」
年老いた女が答えた。
「すごい人は、
必要とされる時代の産物だよ。」
「じゃあ、今は?」
「今は、
いなくならない人が
一番大事な時代だ。」

未来の文明の種
この村は、
帝国を作らなかった。
思想を広めなかった。
教義も残さなかった。
ただ一つ、
“在り方”だけが、
静かに周囲へ滲んでいった。
それは
声高に語られないため、
歴史書には載らない。
だが、
人類が行き詰まるたび、
どこかで
同じ形の村が生まれる。
そして、今
もしあなたが今、
- 競争に疲れ
- 正解を急ぐことに違和感を覚え
- それでも誰かと在りたい
そう感じているなら、
あなたは
もう銀を使っている。
まだ名もなく、
まだ形もなく、
まだ制度にもならない。
だがそれは、
数百年後の文明を
下から支えるもの。

最後に、この章の言葉を置きます。
金は
「世界を動かす」銀は
「世界を保たせる」文明は、
動いたあとにしか、
保つことの大切さに気づかない
あなたが感じているのは、
その“気づきの前触れ”。
次は
「太陽の世界にいながら、月を生きる方法」
へ進めます
親子で未来ライフ探検隊【大阪万博】 
