王の言葉からしばらくして、
国の片隅に、名もない男が住んでいた。
彼は金を多く持ってはいなかった。
だが、夜になると家の灯を消さなかった。
誰かが疲れて訪ねてくると、
彼は問いたださなかった。
理由も、肩書きも、成果も。
ただ、銀の杯に水を注ぎ、
向かいに座った。
二人の間には、
言葉より先に沈黙が流れた。

ある若者が、彼に聞いた。
「なぜ、あなたの家には
人が絶えないのですか?」
男は答えた。
「私は何も与えていない。
ただ、ここにいていいと言っているだけだ。」
若者は言った。
「でも、それでは何も増えません。」
男は月を見上げて、こう言った。
「月は増えようとしない。
それでも、夜を照らす。」
月の時代の「富の定義」
太陽の時代、富とは
- どれだけ持っているか
- どれだけ上にいるか
- どれだけ速く進めるか
だった。
だが月の時代、富とは
- どこに戻れるか
- 誰と沈黙を分け合えるか
- 何も証明しなくていい場所があるか
になる。
これは
記帳できない富。
だが、失うと生きられない富。

銀を使える人とは誰か
銀は、強い者の手では輝かない。
- 相手の話を遮らない人
- 正解を急がない人
- 相手の弱さを急いで直そうとしない人
こういう人の手で、
銀は初めて価値を持つ。
だから月の時代では、
「何者かになった人」より
何者でもなく居られる人が、
人を救う。
選択は、いつも静か
太陽の選択は、
「どちらが得か」で決まる。
月の選択は、
「どちらが続くか」で決まる。
- もう少し稼げるが、壊れる道
- 少し遅いが、帰れる道
月の銀は、後者を選ぶ。
それは逃げではない。
文明を長持ちさせる知恵。

今を生きるあなたへ
あなたが感じている
もやもや、言葉にならない渇きは、
「もっと輝け」という声ではなく、
「もう照らさなくていい」という合図。
何かを成し遂げなくても、
誰かの夜を少し明るくできる。
それを知った人から、
もう月の時代に入っている。
最後に、この話の核心だけ置きます。
太陽の金は
「一人で立つ力」を与えた月の銀は
「一人で立たなくていい理由」を与える
そして人は、
両方を知ったとき、
ようやく人間になる。
親子で未来ライフ探検隊【大阪万博】 
